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日本高血圧学会 学術委員会

日本版SPRINT研究にむけて

自動診察室血圧・家庭血圧・通常診察室血圧の関連:
外来高血圧患者におけるパイロット研究

[はじめに]

高血圧は循環器疾患の最大の危険因子で、正確な血圧測定は診断・治療に欠かせません。しかし、診察室等における血圧測定の際、患者・被験者は不安になりやすく、また医療関係者の技術的な測定ミスや測定中の会話などが血圧測定値に大きな影響を与えます。特に、測定者が目の前にいることは、いわゆる白衣効果をもたらし、患者によっては測定値が大きく上がる原因となります。

近年、患者を1人静かな環境下において、自動診察室血圧計により複数回測定した血圧を AOBP(Automated Office Blood Pressure)と定義し、その積極的な活用が提唱されています。AOBPは、手動での血圧測定よりも正確な測定値が得られ、狭義の白衣効果も排除することができます。特に、米国で実施され、2015年に結果が公表されたSPRINT研究では、AOBPの収縮期血圧120mmHg未満を降圧目標とした積極的降圧治療により、心血管イベント発生率及び総死亡率が低下することが示されました。

しかしながら、臨床現場における時間・空間の確保や患者指導の必要性などのハードルがあり、日本では AOBPはほとんど普及していません。また、高血圧診断や薬物治療においては診察室外血圧、すなわち24時間自由行動下血圧測定や家庭血圧測定の有用性が広く知られており、特に日本では家庭血圧が高血圧治療ガイドライン(JSH 2014)でも強く推奨されています。しかし、AOBPと家庭血圧、あるいは通常実施されている方法により測定された診察室血圧との差異については明らかになっていません。

[研究の目的]

本研究は、正式名称「自動診察室血圧・家庭血圧・通常診察室血圧の関連: 外来高血圧患者におけるパイロット研究」、通称として「SPRINT-Jパイロット」を用います。ただし、先述の SPRINT研究とは直接の関係性はありません。

本研究では、我が国の臨床現場で、以下の3点を明らかにすることを目的としています。

(1) AOBP値と家庭血圧値、および通常実施されている方法により測定された診察室血圧との関連。
(2) AOBP値、ならびに血圧情報同士の関連性についての再現性。
(3) AOBPによる血圧測定が実施可能か、またどのような施設要件(場所・スタッフ等)が測定実施に必要か。

本研究によって、AOBPの意義や実際的な注意点などが明らかになり、将来 AOBPを指標とした降圧治療に関する介入試験を実施するために有益な情報が得られることが期待されます。

[対象・研究方法]

本研究は前向きに実施される多施設共同の観察研究です。本研究による治療への介入はありません。研究期間は 2019年10月までを予定しています。

対象者は、次に示す国内3クリニックに通院する高血圧患者で、探索的に300名を目標としています。

  • 宮川内科小児科医院 院長 宮川政昭(横浜市保土ヶ谷区)
  • 横浜相鉄ビル内科医院 院長 森壽生(横浜市西区)
  • 勝谷医院 院長 勝谷友宏(兵庫県尼崎市)

対象患者は、SPRINT研究でも使われた医用電子血圧計 HEM-907(オムロンヘルスケア社製)を用いて、AOBPの定義に沿って別室で5分間の安静後に血圧を1分間隔で3回測定します。AOBPは、次回受診時および1年後の受診時にも同様に測定します。その際、通常の診察室血圧測定を行い、また家庭血圧も継続的に測定されます。それ以外の、定期的な採血・採尿検査や心電図検査なども日常診療の範囲内で変わりなく行います。

主要評価項目は、AOBP値と家庭血圧値との関連であり、副次的評価項目として AOBP値と通常測定の診察室血圧との関連、AOBP値の再現性などを設定しています。

[倫理的側面からの配慮]

本研究は、実施に先立ち琉球大学医学部の倫理委員会で審査承認されています。また、本研究は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則の精神に則り、最新の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守して実施されます。

[研究資金および利益相反について]

本研究は、日本高血圧学会「日本版SPRINT研究検討ワーキンググループ」により実施されます。その資金は日本高血圧学会より支出されます。なお、日本高血圧学会は、本研究で使用する血圧計 HEM-907を製造・販売しているオムロンヘルスケア株式会社より寄附を受けておらず、同社からの本研究に直接関連する機器や資金の提供はありません。

[本件に関するお問い合わせ先]

特定非営利活動法人 日本高血圧学会事務局
〒113-0033 東京都文京区本郷3-28-8 日内会館2階
TEL:03-6801-9786
FAX:03-6801-9787
E-mail:officejpnsh.jp

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