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学会概要

日本高血圧学会理事長からのメッセージ

「New Normal」を意識した「高血圧みらい医療計画」のさらなる推進と国際化

理事長2020年10月26日、伊藤裕先生の後任として、日本高血圧学会の理事長に就任しました。本学会に育てて頂いたと自覚している身として大変光栄であり、任期の2年間、高血圧学の発展と高血圧治療の発展に尽力して参ります。また、副理事長には野出孝一理事(佐賀大学)、苅尾七臣理事(自治医科大学)に就任頂きました。会員の皆様だけでなく、関係の諸団体の皆様にもご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、2022年までの2年間は、伊藤貞嘉先生の時代に策定された「高血圧みらい医療計画(2018年)」の推進、伊藤裕先生が着手された様々な事業(高血圧制圧のムーンショット)のさらなる推進、2022年10月に京都で開催予定の国際高血圧学会(ISH2022 KYOTO)の成功への歩みが活動の中核になります。さらに、学会認定の高血圧専門医制度やそのほかの認証制度を、国民の健康にどのように結び付けていき発展させるかの方向性を決定すべき時期でもあります。いずれの活動におきましても、特定非営利活動法人である日本高血圧学会の目的(定款第3条)にある、「広く一般市民を対象として、高血圧並びにこれに関する諸分野の研究調査、知識の普及、啓発、学術集会の開催を行うことにより学術を進歩向上させ、もって広く国民の健康増進に寄与する」に沿うものであり、着実にその任を果たしたいと考えております。

2年間の活動のキーワードは「New Normal」

コロナ禍により様々な場面で「New Normal」が語られるようになっており、「New Normal」を意識した活動であるべきと考えます。「高血圧みらい医療計画」につきましては、スローガンの「良い血圧で健やか100年人生」、目標の「高血圧の国民を10年間で700万人減らし、健康寿命を延ばします」を予定通り遂行するために活動の見直しの必要性を再度確認しました(表1)。3つの柱に分けた戦略は、いずれも「New Normal」時代にも十分に適応したものであり、ISH2022 KYOTOにおいてその進捗を報告することを1つの目標に学会を挙げて計画遂行に邁進いたします。

以下に、「高血圧みらい医療計画」の3つの柱に沿って、「New Normal」を意識した活動を列記します。

第1の柱:医療制度

新しいテレメディシンに向けた課題解決への取り組み

  • 遠隔での血圧の正確な評価、高血圧合併症の早期発見や重症度評価(第2の柱の新しいテクノロジーの実診療への導入)
  • 外出自粛に伴うライフスタイルの変化を健康悪化につなげない工夫(多職種による遠隔チーム医療システムによる食・運動・ストレスのコントロール)

第2の柱:学術研究

「New Normal」時代のために特に推進すべき研究領域

  • Digital Hypertension(血圧のバイオインフォマティクス):血圧・心拍・呼吸などの連続的なデジタル情報から得られる新しいバイオインフォマティクスを、血圧管理だけでなく、急性疾患の発症前予知や重症化予知を含めた健康管理に応用するための学問の推進。
  • エイジングサイエンス・老年医学:超高齢社会の最先端にいる日本から発信するべき老化研究に基づいた高血圧学、フレイルや認知症を見据えた高血圧学の推進
  • J-DOME(日本医師会 かかりつけ医 データベース研究事業):日本医師会と2020年9月に連携協定を締結したもので、家庭血圧情報が登録されており、「New Normal」時代に必須のデータベースであり、実地医家部会を中心に登録を推進する。

第3の柱:社会啓発

生活習慣病としてだけでなく生活・社会環境病としての高血圧をとらえた社会啓発

国際交流推進と学会の国際化

この2年間における最大のイベントであるISH2022 KYOTO(伊藤裕会長)の成功に向け学会を挙げて活動を展開します。日本高血圧学会の国際化は、1988年の京都、2006年の福岡でのISHを契機にそれぞれ飛躍してきましたが、今回はthe Kyoto Hypertension Summit 2016 を契機としたISH誘致活動の活発化が原動力になっています。アジアの国々との交流強化は、2018年5月の臨床高血圧フォーラム(伊藤正明会長)でアジアにおける高血圧研究に関する京都宣言として発表され、2021年の沖縄での学術集会(大屋祐輔会長)における国際化の取り組みもアジア各国の高血圧学会を巻き込んで進行中です。ISH2022 KYOTOまでに、アジアの高血圧問題をアジア各国が共有し、各国の対策の弱点を議論し、お互いをサポートするためのガイドを作成したいと思います。

ISH 2022 KYOTOの伊藤裕会長によるPromotion Videoは、「New Normal」時代に必要な高血圧学に焦点をあてることを話されています。イノベーション、高度なテクノロジー、および食品、運動、AIの側面を含む健康増進らのトピックスこそ、日本高血圧学会が追求していくべきものであり、今後2年間を経て日本の「New Normal」時代の取り組みをISH2022 KYOTOの場で紹介し、世界の人々と議論することを楽しみにしています。

参考webサイト・参考文献

  • 高血圧みらい医療計画(日本高血圧学会)
    https://www.jpnsh.jp/future-plan.html
    Node K, et al. The Japanese Society of Hypertension-Digest of plan for the future. Hypertens Res. 2018;41:989-990.
  • 高血圧制圧のムーンショット(伊藤裕前理事長メッセージ)
    https://www.jpnsh.jp/past-greeting.html
    Itoh H. Greeting Messages from President of Japanese Society of Hypertension (JSH) The challenge of JSH: moonshot for "Conquest of hypertension in Japan". Hypertens Res. 2019;42:925-927.
  • Digital Hypertension(デジタル高血圧、バイオインフォマティクス)
    Matsuoka R, Akazawa H, et al. The dawning of the digital era in the management of hypertension. Hypertens Res. 2020;43:1135–1140.
  • J-DOME(日本医師会・日本糖尿病学会・日本高血圧学会)
    https://www.jpnsh.jp/topics/678.html
  • 減塩に関する東京宣言(日本高血圧学会)
    https://www.jpnsh.jp/declaration_tokyo2019.html
    Tsuchihashi T, Ishimitsu T, et al. JSH Statement: Tokyo declaration promoting salt reduction by the Japanese Society of Hypertension-the JSH Tokyo declaration. Hypertens Res. 2020;43:1133-1134.
  • 高血圧ゼロのまち(日本高血圧学会)
    https://www.jpnsh.jp/topics/642.html
  • Hypertension Summit 2016 Kyoto (当時のISHとJSH理事長:Rhian Touyz先生と梅村敏先生)
    https://www.jpnsh.jp/topics/513.html
  • アジアにおける高血圧研究に関する京都宣言(日本高血圧学会)
    Ito M, et al. JSH Statement: Kyoto declaration on hypertension research in Asia. Hypertens Res. 2019;42:759-760. (https://www.nature.com/articles/s41440-018-0172-8
  • 国際高血圧学会2022 京都(ISH2022 KYOTO)
    https://www.ish2022.org/ 動画 (YouTube):https://youtu.be/65eSB3E6dzU (short version), https://youtu.be/EWRJwvfBED0 (full version)

特定非営利活動法人 日本高血圧学会 理事長
大阪大学大学院医学系研究科 老年・総合内科学 教授

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