保健師

2015年に制度となった、高血圧・循環器病予防療養指導士の認定制度に大いに期待しています。15年以上前になりますが、某機関に保健指導室を設置してハイリスク者への保健指導の仕組みを作ったとき、診療現場の医師に保健指導の意義や効果が十分理解されず、苦心したことを思い出します。当時は保健指導の重要性が全く理解されませんでした。
この制度ができたことで2,500万人にも及ぶ高血圧や高血圧治療中の人に対し、医師やその他の職種と連携した保健指導の充実が期待でき、保健師の活躍の場がさらに広がることを期待しています。従来、保健師が診療現場や医師と密接に連携しながら保健指導するには、病態や薬剤への理解などの厚い壁を独力で超える必要がありました。こうした知識の範囲が明示され、研修の場が提供されることで治療中の人を含む保健指導の充実に向けた動きがさらに強まるのではないでしょうか。
今、まさに私がぶつかっている課題は治療対象者への支援なのです。例えば、働きながら治療している対象者の療養指導は受診勧奨、受診状況確認にとどまり、対象者に対しては、病態に伴う本人の働き方、暮らし方や、治療での不安の解消などが適切にできていませんでした。さらには対象者の上司、産業医への情報提供による連携、調整もできていませんでした。これは病態や薬剤への理解不足と主治医との連携ができていない療養指導に課題があり、「主治医からどんな説明を受けましたか」と確かめる程度の指導に終わっていたからです。この資格制度により健康づくりの保健指導と治療中の保健指導が可能になり、対象集団全体を網羅した保健指導プログラム支援者になれるとこの資格制度に期待しています。

看護師

高血圧は国民病とされるほど多くの国民が罹患していますが、症状がないため放置されていることがよくあります。多くの看護師は毎日血圧を測定していますが、血圧値の変動や臓器障害の把握、二次性高血圧の除外などその病態を正確に把握している者は少ないのが現状です。また、高血圧の管理面では、減塩や運動、禁煙などの生活習慣の改善が重要です。患者さんの日々の暮らしに密着した指導を行うには、最も患者さんの身近にいる看護師からの助言や指導が重要と考えられます。本指導士の資格を得ることで、高血圧や循環器病予防の知識・技術が向上し、より質の高い看護師として活躍できると考えられます。

薬剤師

薬局では、薬剤師が循環器疾患・高血圧に関する健康情報の提供の拠点としての役割を果たします。家庭血圧測定指導、健康診断、医療施設受診の勧め、循環器疾患予防のための生活習慣(食事・運動等)の指導や助言等、在宅医療(居宅療養)の現場で患者・家族、ケアマネジャー・ヘルパーへの教育や課題への助言を行います。
また、病棟薬剤師としては、病院の外来・病棟で患者の入退院支援時の患者へのわかりやすい服薬指導の要になります。

管理栄養士

療養指導士の認定資格を取得することで、栄養学的目線だけでなく、多面的に患者の問題点を捉えることができるようになり、生活指導の幅が広がります。また、他職種の関わり方を知っておくことで、施設内外での連携がスムーズになり、より充実したチーム医療が提供できます。高血圧予防・治療の第一歩は減塩です。施設や地域で認定資格を持った管理栄養士がリーダーシップをとり、啓発活動を推進していく役割を担いたいと思います。

理学療法士

我が国では高齢社会を迎え、リハビリテーションの重要性が増しています。理学療法士の日常の活動の中で、従来のリハビリテーションに加えて、生活習慣病に対する対応、また、将来の循環器病予防に対する対応が、今後、ますます増えてくると考えられます。その中で、理学療法の専門性に加え、高血圧・循環器病予防療養に関する高い知識と経験を身につけることで、より幅広い患者指導が自信を持って行えるようになります。また、循環器病予防という共通の目標を持って、他の職種とのチーム医療も促進されます。このような資格を身につけることで、他のリハビリテーションスタッフへの教育・啓蒙活動なども含め、専門知識を持って総括的な指導ができる理学療法士となることができます。

心理士

抑うつや不安などの心理的側面は、高血圧や循環器疾患の発症や増悪と密接に関連することが知られています。高血圧治療における医療心理士の主な役割は、治療抵抗性の要因やストレス対処行動等の心理的なアセスメントをすることです。その際に、循環器疾患の予防と治療に関する知識を持つ療養指導士としての資格が生かされるでしょう。一方で、精神科や心療内科の患者さんに対する心理面接においては、生活習慣改善へのアプローチが、精神症状の改善につながる可能性があります。

臨床検査技師

高血圧は臨床検査技師にとって、とても関連の深い疾患です。血圧のデータのみならず、背景にある膨大な生理検査、検体検査データが高血圧の原因であり、結果です。そこに全く関連しない検査技師はほとんどいないにもかかわらず、横断的に理解している人は少ないようです。循環器系の検査はもちろん、腹部エコーでも腎臓、副腎、さらに脂肪肝の背景にも血圧変化が隠れていたり、検体検査においては、さらに多くの項目が関わっています。これらのより深い理解と臨床症状や目的に沿った報告、検査アドバイスが要求されています。本指導士の資格を得る過程で理解が深まり、患者のみならず後進の指導をすることで、良質な高血圧診療の提供のために臨床検査技師の役割が飛躍的に伸びると考えます。

健康運動指導士

生活習慣病や循環器病予防は、生涯を通じた個人の健康づくりだけでなく、中長期的な対策としても重要であり、一次予防にとどまらず、二次予防も含めた健康づくりのための運動・身体活動支援を担う指導を対象者に対して行う必要があります。これについて、健康運動指導士の活躍の場がより増えてくると考えられます。その場において、運動のみならず、薬物、食事、また疾病に対する専門的な知識を身につけることで、さらに自信を持って対象者に対応できることになります。また、心臓リハビリテーション指導士は、従来は、二次予防中心の活動でしたが、さらに一次予防の知識を得ることで、一次予防の現場に身を置いた場合にも、これまでの高い専門知識と経験を発展させて発揮できます。また、心疾患患者指導において、腎臓病や脳卒中の発症や進展の予防のための、より幅広い知識と経験を身につけることができます。

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